やべえ! 3ダース、いつの間にかネトウヨ側の人間になっちゃった?
11月下旬に読者の先生から手厳しいメールをいただきました。
『アルコール綿のタッパーを各自に持たせれば生徒の絵がうまくなるなんて、非現実的だと思います。ひょっとして精神論ですか? なんか、トイレを素手で掃除させる教育法みたいな感じですが…。3ダースサンはそういうネトウヨ的な思想と対極に居るような人だと思っていましたので残念です』
え?
あれ?
え~?
ちょ、ちょっと、誤解ですよ~。
3ダースは『学校の先生たちを対象にした講習会と称して…靖国神社などを会場にし、トイレを実際に素手で磨かせ…教員に自己啓発をさせるようなネトウヨ的団体』とは対極の位置に居るつもりでおります。
ですので、読者の先生から上のようなメールを受け取り…愕然としました。
そして、自分の書いた第52回のメルマガを読み返してまた愕然…。
た…確かにそう読めてしまう
【このようなもの (アルコール綿入りのタッパー) を部員一人一人に持たせ、普段から手や道具…机や椅子などの汚れを拭き取る習慣を付けさせるのも、アリでしょう?】
【部員さんの心構えが変われば、絵も格段にウマくなります。身の回りのことも、だらしなくなくなります】
やべえ! 3ダース、いつの間にかネトウヨ側の人間になっちゃった?
実際には上の二つの文の間に別な文が挟まっているんですが、確かに『タッパーを持たせれば絵が格段にウマくなる』と3ダースが言っているように読めます。これは3ダースの本来の主張と…ちょっと違ったニュアンスになっちゃってましたので、申し訳ありませんが訂正させていただきます
アルコール綿のタッパーを “持っただけ” では絵はウマくなりません。なりっこありません!
当たり前です。
でも、アルコール綿などを活用し…身の回りの汚れなどに気を配れるようになると、やがて絵がウマくなれる…とは思います。
う~ん、ダメだ。
ものすごく歯切れが悪い…。
どうした3ダース。
おかしいぞ?
では逆に、いつも3ダースが考えている…絵がウマくなるための必須の事から説明するとしましょう。
ちょっと長くなりますが…。
『絵がウマくなるにはどうしたらいいでしょうか?』
画材店店主という仕事をしていると、『絵がウマくなるにはどうしたらいいでしょうか?』というような質問を受けたりします。
例えば美術科が有る高校を目指している…とか、そういう高校に合格した…という親子連れのお客さまから質問されます。
3ダースの答えは明解です。
『とにかく描くことだと思いますよ』…と。
だって絵がウマくなりたいなら…ひたすら反復練習ですよね。それしかないでしょ?
場数、つまり経験を積むこと。
何か他に有る?
ほとんどの場合は…未経験の油絵に対しての質問ですね。
もう少し具体的に答えるならば…『基礎も確かに大事だけど、とにかく実践。つまり野球に例えると…素振りも確かに大事だろうけど、練習試合などでとにかく打席に立つこと。要は…本番を経験すること。
油絵で言えば…木炭デッサンとかも確かに大事だろうけど、とにかくキャンバスに油絵具を使って何枚も何枚も描くこと』…って感じ。
あと、『高校生活の間に油絵を20枚以上描ければ、相当ウマくなれるよ。目標は30枚…かな?
』とも。
これ、実体験に基づいてます。
3ダースは小学校時代は少年団でサッカーざんまい。中学校時代は陸上競技部。つまり、美術との接点は少なめな少年でした。
しかし、中3の秋冬にヒザなどを痛めてしまったため…高校で運動部に入る気は失せてしまい、消去法的な動機で美術部に入部。
その年度の美術部新入部員はやたらと多く…中にはものすごく絵のウマい男子 (しかも美顔長身) もいて、3ダースの居場所は無し。春から部活に顔を出すのがイヤになります。
3ダースは、手先だけは異常に器用でしたが…その当時は絵のセンスなんかさっぱり無く、春から夏にかけては文化祭実行委員の活動 (正門のアーチ作り) を口実にひたすら部活をサボっていました。まぁ、部の課題としての油絵は一応カタチだけは仕上げてましたが…。
やがて、長身イケメン君は本格的に美大受験を目指すとのことで…お遊びみたいな美術部は辞め、美術予備校などに行くようになったようです。
異常に多かった同級生 (イケメン目当ての女子) もある程度減り、ようやく3ダースも部室内で居場所を作れるようになりました。
二学期アタマの文化祭での展示はまったく振るわなかったものの、そのあとの高美展の作品はけっこう良いものが描け…1年生ながらも出品作品に選ばれました。
まぁ、とにかく手先だけは器用でしたから…。
しかし高美展での講評会ではけちょんけちょんに酷評をくらい、悔しい思いをしたものです。小手先だけで描いた作品でしたからそのあたりを見透かされたのでしょう。
高1で描いた油絵は5枚でした。
高2になると突然油絵を描くのが面白くなって絵の腕前もメキメキ上達し、満を持して出品した高美展での講評では大変な賛辞をいただきました。
高2で描いた油絵は8枚だったと思います。
高3は12枚。3ダースは美術系の進路を考えていなかったので、予備校等には一切通わず…ずっと美術室にこもってひたすら勝手に描いていました。高3でも高美展に出品してましたしね。
つまり手先が器用なだけで絵のセンスは微塵も無かった少年でも、トータルで10枚を超えるくらい描いた頃には高美展の講評で絶賛されるようにもなれるんです。
とにかく場数です。
反復練習と実践なんです。
ちなみにここで言う『枚数』は、1枚に一ヶ月以上かけてじっくり描いたような作品だけのことではなく、合宿で描く風景画とか校内の油絵スケッチのように…短い時間で描き上げたものや、また完成や発表に至らなかった未完の作品も含みます。
キャンバスも、すべてが枠張りキャンバスっていうわけではありません。枚数をこなしたかったので、安価なキャンバスボードも活用しました。
また闇雲に枚数をこなすのではなく、同じようなテーマの作品を定期的に描いたりすることで…上達の度合いも測るようにしていました。
3ダースの学校の顧問は、偉そうにすることが自分の役目と思ってるようなヒトで…部活には無関心。まともな指導や助言を一切してくれなかったので、3ダースが2年になって以降は頼れるのは自分だけ…。とにかくひたすら描くことでウマくなるしかなかったんです。
悔やまれるのは高1の前半。コンプレックスに負けずに部活に顔を出してさえいれば、もっと早くに芽が出たであろうに…。(高1の時は教えてくれる上級生がいましたし…)
そして高1の冬も…。高美展でけちょんけちょんにけなされたことにより…ふてくされて “冬眠 (活動自粛) ” しちゃってました
他の部員もほとんど部室に来ないこの時期こそ、自分の好き勝手に描ける時間を作れたはずなんですが…。(部員のほぼ全員が冬眠を決め込んでました)
翌年の飛躍を思い描いて…この冬眠期間に数枚の油絵をこなせていたなら、高校生活でのトータルで30枚は描けていたはず…。
つまり、3ダースはもっともっとウマくなれていたであろうに…。
残念です。失った時間は戻って来ません。
まぁ、そういう自分の経験を踏まえ『油絵は実践あるのみです。とにかく描いて…枚数をこなしましょう』と、3ダースは答えているのです。
高1の春の時点で…絵の実力ではまったく目立てなかった3ダースですが、高2高3と…確実にウマくなれました。おそらく、美術系の高校を目指している生徒さんなら…当時の3ダースよりもはるかに絵のセンスは有るでしょう。
ならば…20枚とか30枚という大袈裟な事を言わなくとも、ちゃんとした指導のもとで10枚程度描けば…問題無くウマくなれるでしょうね。
でも、描かなきゃウマくなんかなれませんよ。これ大事なこと。
描きもしないで…精神論だけでウマくなれっこありません。
実践あるのみです。
まあ、絵を描く時間を作り出すために何かを “我慢する” とか、お小遣いをもらうために何かを “頑張る” とか…そういう努力は必要かも知れません。
しかし頑張る気持ちさえあればウマくなれる…なんてことはない。
『じゃあなんで “身の回りをキレイにすれば絵がウマくなる” みたいに言ったんですか?』って声も聞こえて来そうですね。
そこは、精神論じやなく『経済学』なんですよ。
“身の回りをキレイにすれば絵がウマくなる”の説明
冒頭で触れた『トイレを素手で磨かせて…教員達に自己啓発させる団体』などは、やたらと “行動” と “精神” をくっつけたがるんですよね。
例えば『トイレ磨きは自分磨き』とか…『掃除するうちに自分の心が素直になる』とか…『掃除を通じて世の中から心のすさみを無くしていきたい』とか…『掃除は心を清め、頭を整理する』とか…『掃除から気付きを得る』とか。
みなさん、くれぐれもそんな団体に引っかからないでくださいね。
ぶっちゃけ、掃除で精神なんて磨けないし…掃除で人格が向上するなんて有り得ません!
そりゃそうですよ。掃除という行動と…精神だの人格だのってモノはつながる関係じゃないですから!
でもね、掃除という行動は生産性を向上させるんです。
ここが経済学的なところですよ !!
みだりに汚さない。整理整頓する。身綺麗にする。危険なものは取り除く。
これが作業効率…すなわち生産性を上げるんです。
『作業管理』とか『作業環境管理』っていう考え方ですね。
これ、道徳とか精神論とか宗教とはまったく異なる『科学』なんですよ。
一方、身の回りを汚し放題で…用具の管理もキチンと出来ていない子は、行動のムダや時間のロスも大きいでしょ?
また…作品に致命的なキズや汚れを付けてしまうリスクも大きいでしょ?
ひとたび何かトラブルが起きると、結局リカバーしきれなくなるんですよ、そういう子は…。
そういう場面を山ほど見てきました。
よく、ツナギ (作業着) を部員に着させて油絵などを描かせている学校もチラホラ見かけます。
ツナギを否定するつもりはありませんが、ツナギを着ている子の方がやたらと服が汚れてたりも…しますよね?
汚れてもいい服を着てるからって…いくらでも汚していいってわけじゃあないよね。確かにツナギは汚れてもいい服かもしれないけど、なるべくなら汚さない方がいいじゃん。だって、服に付いた汚れは必ずどこか別な所にも付くんだよ。
だからツナギを着ることより、汚れを付けないようにすることが大事。
まさにこれが『作業管理』とか『作業環境管理』ってやつです。
3ダースは部活の時にジャージや体育着に着替えたことは一度もありませんでした。
いつも学ラン (詰め襟の黒い学生服のこと) で油絵を描いていました。
もちろん、汚れてもいいボロな学ランじゃあないっすよ。
若い先生方にはわからないかも知れませんが、学校指定の『標準服』ってヤツではなく…ちょっと長めな『中ラン』っていうヤツ。
あ、“長ラン” じゃあないっすよ。すごく長い長ランは不良が着るヤツです。少し長い中ランは真面目な生徒が着るヤツです。しかも3ダースの中ランは裏地が “青玉虫” っていうメチャメチャ光沢のある仕様で…それは不良が好む “紫玉虫” の一つ下の仕様でした
このお気に入りの中ランは絶対に汚せません。
第52回メルマガの文章は…『仮縁は部の備品だからいくらでも汚していいんだ』『きったない仮縁で出品してもちっとも恥ずかしくないんだ』って考えちゃっている部員さんと顧問の先生に、“キレイな仮縁をわざわざ汚して出品するなんて恥ずかしいことじゃないですか?” ってわかってもらいたく…今回冒頭に引用した文章を書いたわけです。
だから、アルコール綿のタッパーを持ち歩けば絵がうまくなる…というわけではありません。
アルコール綿のタッパーは “御守り” ではないので、持ち歩くだけでなく…使いましょう。
身の回りの余計な汚れを除去すれば、作業効率は上ります。必然的に制作時間も増えるのです。
積もり積もれば絵もウマくなる…ってイメージで、うっかり『格段にウマくなります』って書いちゃったんです。スミマセン
でもね、自分を擁護するわけじゃないですが、仮縁や身の回りの汚れに “気付ける子” と “気付けない子” だったら、気付ける子の方が絵はウマくなると思いますよ。
これは精神論じゃなく…それこそ作業効率や生産性の面で、気付ける子の方が “優れている” からです。
服に付いてしまった汚れも含め、身の回りの汚れは作品を『毀損・汚損』する “リスク” でしかない。
無駄な汚れを付けたままにせず、即座に拭き取れれば…作業効率は当然上がります。
しかし、リスクを除去出来ない作業者の生産性は極めて低いのです。
経済学の常識です。
ふぅ。
ご理解いただけたでしょうか?
もし、仮縁をはめてから加筆をさせるなら…せめて仮縁のキワにマスキングテープくらい貼らせてみてくださいよ。
汚す前に…汚れる前に、何らかの対策は出来るでしょう?
対策もせず、汚すだけ汚して恥ずかしくも思わない生徒さんは…たぶん今以上には絵はウマくなれないですよ、残念ですが…。
あ、あと一応みなさんに申し上げますが、メルマガ冒頭に取り上げている『読者様の反応メール』は、ご意見をくださった読者さまご本人にあらかじめ掲載許可を頂き…個人特定できないように文体を変えて掲載しております。今回記載しました “ご反応” も、ご本人にこちらからまず回答をしたのち、掲載許可を頂いてから掲載しています。
『メルマガ上でイジられるのが怖いから、感想メールなんか送れない』なんてビビらずに、どしどしメールください。掲載する場合は必ず許可を頂きますし、めったな事が無い限り…まず掲載されることはありませんから。
(メルマガに意見が掲載されている数人の先生は、載る目的で…敢えてとんがった意見をぶつけてくれてるんです)
【第55回終わり】














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