前回のメルマガ、予想外に多数のご反応をいただきました。
やはりDIY知識に関するものと、仮縁のツライチ問題に関して…。
あと…3月30日に送信した第29回のメルマガ内で、冗談のつもりでネタとして書いた『ギレンの演説』に関して、『3ダースサンが “クズであると!” って書いてた部分、本来は “カスであると!” と…ギレンは言っていたはずです』と、若い先生からご丁寧にご指摘をいただきました。
ええ知ってますよ、それくらい…😅 3ダースは “ファーストガンダム” ど真ん中の世代ですからね。 小学生の頃『敢えて言おう、3ダースであると!』って…さんざん友達からイジられてるんですから、こっちは。
DIY関連のご反応
DIY関連では、やはり釘に関する知識の不足を自覚なさっている数人の先生からの “反省のお言葉” がありました。
みなさんが釘に馴染みがないのは…電動ドライバーが各校に当たり前に普及している現在、トンカチで木工用の釘を打つっていう事自体が減っているためでしょう。 仕方のないことです。
また、手作り仮縁にチャレンジした経験のある学校の先生からは『板の端に木ネジを打つと、必ず割れるので困っていた。なぁんだ、下穴が必要だったんですね』と。 う~む。これは常識のハズですが、ご存知なかったんですか…。先生、DIY知識に自信が無いのなら…市販の金属製仮縁に切り替えましょうよ。手間のかからないCDシリーズのご注文をお待ちしております😁
下穴不要のネジについて
ちなみに、『キリやドリルによる下穴不要』と謳っているネジもいろいろあります。 最も有名なのはコーススレッドというネジ。 ただ、コーススレッドは、板を角材などに固定する…というより、角材と角材の締結に使われるイメージが強いです。 実際、ツーバイフォー工法の現場で最もよく使われていますから。 このコーススレッド、手作り仮縁に不用意に使うと…やっぱり板に割れが生じることがありますよ。”割れにくい” っていうだけで、”割れない” ってことではないんです。
一方、『木割れ防止ネジ』という名前のネジも売られています。 こちらはコーススレッドよりもはるかに割れにくいですね。”ほぼ割れない” と言っても過言ではありません。なぜならネジの先端がドリル刃のようになっているからです。このネジを使うのなら下穴は空けなくても大丈夫でしょう。
さらに、昔ながらの皿頭の木ネジでは頭がおさまるためのしゃくり(すり鉢状の窪み)を事前に板の表面に作っておかないと、ネジの頭が板にキレイに埋まり込まず…頭が数㎜飛び出してしまう恐れがありました。 この “しゃくり” を事前に作るのはなかなか面倒なんです。 でも木割れ防止ネジにはネジ頭の根元の部分に風車状の刃が付いていて、自分の頭が入り込む “しゃくり” を自分で作っちゃう機能まで付いています。 いやぁ、ネジの進化ってすごいですねぇ。
だだ、ネジの作業って…下穴だのすり鉢状のしゃくりだの、確かに面倒かもしれないけれど “通常の手順” さえしっかり踏めば、板が割れることもなく…キレイにネジは締められるんです。つまり、手抜きや横着をしなければ良いのです。
手抜きや横着をしちゃいがちな先生は、市販の金属製仮縁をお使いください。恥をかかずに済みますよ。
ツライチ問題へのご意見
さて、もうひとつの “問題” 、『ツライチ問題』へのご意見…。
『オモテ側のツライチ』という悪しき行為は、混載を前提とした業者への搬入依頼としては “許されざるマナー違反” という3ダースの主張を…全員の先生が同意してくださいました。
ただ、『裏面ツライチの禁止』には大半の先生から疑問の声が上がる結果となりました😥
『裏面の仮縁の飛び出しを2㎝も必要とする根拠がわからない』『過去に裏面ツライチで何度も出品しているが、OKだったはず。なぜ急に路線変更したのか』と😰
ええ、こちらもそういう声が上がることは予想していました。
裏面ツライチを黙認していた理由
たしかに以前は裏面ツライチは黙認し、運搬もしておりました。 でもそれは、出品校がキチンと裏面の処理をしてくれていたから…。 また、裏面の処理をまったくやってくれていない学校の作品には、3ダースがしっかりと裏面の処理を施してあげていたから…。裏面ツライチで混載しても問題が起きないよう、出品校に成り代わって…搬入直前に、深夜までかけて処理をしていたからです。
その処理とは、キャンバスのみみの処理です。
高美展が終わって返却された作品の裏に、『貼った覚えの無い布ガムテープ』や『やたらめったらガンタッカーの針が打ち込まれ、キャンバスのみみが絶対に浮き上がって来れないように木枠の裏面に固定された状態』を見たことがある顧問の先生もいらっしゃるはず。 それは3ダースのしわざです😜
みみの処理がマナー
そう、仮縁の裏面(厳密に言うと仮縁の側面の後ろのヘリ)より後ろ側に飛び出る恐れがあるキャンバスのみみは、切るか…飛び出ないように木枠に固定しちゃうのがマナーなのです。
手張りしたキャンバスなら特にみみの立ち上り傾向が強いので、切るか固定しなければ…他の作品との混載は出来ません。 つまり、みみの処理もしないクセに裏面ツライチの手作り仮縁で出品しちゃあいけないんですよ!
3ダースは何年も何年も、そういう無自覚な学校の作品を丁寧に運んであげるため、ガムテープやカッターやガンタッカーを駆使して裏面処理をしてきました。 でも、手作り仮縁で裏がツライチだと…どんなにガンタッカーをめった打ちしても5㎜~1㎝弱くらいの浮き上がりが生じるため、この機会に『手作り仮縁の裏面は2㎝…仮縁を出っ張らせて欲しい』とお願い申し上げたわけです。
2㎝の根拠、わかりましたか? わかってもらえましたか? じゃあ、実行していただけますよね?
大丈夫😁 手作り仮縁をうまく付ける自信が無かったら、金属製仮縁がありますよ。これを機に切り替えましょう。
みみ問題
さて、以前話題にあげて以降…ほったらかしにしていた『みみ問題』をもう少し語ります。
絵を描いてる最中は、キャンバスのみみは残しておきましょう。なぜなら描いている途中でキャンバスに弛みが生じたらタックス(釘)を抜いて張り直すためです。みみを切ってしまったら、プライヤーで布を掴めません。
描き終わったのなら、もうみみは不要なはず! 仮縁をはめる前にみみを切ってください。仮縁をはめちゃうと、みみの切除はとたんに難しくなります。
金属製の仮縁を使っている学校でも、みみが立ち上がって仮縁の裏面より後ろ側に飛び出る恐れがあるのなら、みみを切るか…ガンタッカーで木枠にみみを打ち付けるなりして、必ず処理してください。
手張りキャンバスに限らず、機械張りの…いわゆる『張りキャン』でも、畳まれていたみみが何かの拍子で立ち上がってしまうと仮縁の裏面より後ろ側に飛び出す恐れが生じます。 そういう場合は迷わず切るかガンタッカーで留めましょう。
みみは凶器
飛び出た “みみ” は、凶器です! 他者の作品を毀損し汚損する…凶器なのです!
みみの処理を怠った部員や顧問は、他校の作品の毀損や汚損に荷担していることになるのです! なんの自覚も無く❗
だから、”バカの一つ覚え” でも良いですから『描き終わったら木枠の裏に出ているみみを切る』と覚え、実行してください。
みみを切りたくないのなら、ガンタッカーか布ガムテープで…木枠からキャンバス布が浮かないようにしっかり固定し、それから仮縁を付けるようにしてください。
それをしてくれない学校の作品は、3ダースが容赦なくみみを切り落とします。 後で文句なんか言わないでくださいね。
“バカの一つ覚え” すら出来ないヒトは、大バカってことですよ。 クズってことですよ。
このメルマガの読者さんの中には、そういうヒトはいらっしゃらないハズ。
ぜひ実行お願いいたします。
(まあ、出来ていなくても3ダースが必ず搬入前にチェックし、処理を代行しますから…ご安心を😁)
なぜ3ダースがそこまで “キャンバスのみみ” のことでムキになっているのか…というと、次回に続きます。
【第32回終わり】
補足です。
本文中に『布ガムテープ』と書きました。 でも、実際にはそのようなモノはありません😁
そもそもガムテープってコトバ、本当は何を表してるかご存知ですか?
美術の先生なら知っておいて欲しい “豆知識” です。
ガムテープの正体
『ガムテープ』とは、みなさんよくご存知の…『水張りテープ』のことです。 あれが、本当のガムテープなのです。
Wikipediaにもそう書いてありますよ。
もちろん、一般的には『ガムテープ』と言えば、表面がツルツルでマジックで字も書けない『クラフト粘着テープ』のことでしょう。
でも…厳密に言うと、『ガムテープ』は『水張りテープ』を指すんです。 だから『布ガムテープ』なんて存在しません。
マジックで表面に字が書けて、手でまっすぐ切れる “通称・布ガムテープ” は、正式には『布粘着テープ』と言います😁
紙コップ工場でのアルバイト
3ダースは学生時代、紙コップを作る工場でアルバイトしていた経験があります。
その工場は、普通の紙コップだけではなく…カップ麺の『サッポロ一番カップスター』や、アイスの『森永ザ・クレープ』の容器も作っていました。 あと…検尿カップ(正式名はハルンカップ)も作ってました😅
カップスターは、現在と違って昔は…カップの周りに波板(段ボールの芯)状の紙が糊付けされた容器だったんですよ。 『カップスター ギザギザ』で画像検索していただくと、昔の容器のカタチがわかるかと思います。 もちろん、紙コップやカップスターの容器などを作るのは…すべて機械での作業ですけどね。
で、出来上がって規定の数量が重なって転がってきた紙コップを、我々バイトが段ボールに入れて梱包するんですが、その箱を閉じる(封緘 = ふうかん)作業に水張りテープが使われていました。
みなさんがご存知の直径が小さくて25㎜とかの幅のテープではなく、たしか幅50㎜(ひょっとしたら記憶違いで38㎜だったのかも)で直径もけっこうでかかった…。 それがディスペンサーに装着されていて、レバーを動かすと一定の長さのテープが水に濡らされて排出されるんです。 『手動ガムテープディスペンサー』で画像検索していただくと、その機械の画像が見られると思います。
おそらく、今でもそういう封緘方法で段ボールを閉じている工場もあるかもしれませんが、最も一般の人の目につくガムテープ(水張りテープ)は、直管蛍光灯のパッケージでしょう。 片面段ボールで蛍光灯の周りを覆っていますが、その封緘(白い面)は水張りテープなんですよ。 もちろん、手作業などてはなく機械による全自動の封緘でしょうが…。
水張りテープのラインナップ
ちなみに美術用紙の大手メーカー『ミューズ』が生産してる水張りテープの幅は、25㎜・30㎜・38㎜・50㎜・75㎜・100㎜・880㎜と…ずいぶんたくさんのラインナップがあります。 なぜか、38㎜の方が30㎜よりも安いんですよ😅 巻きの長さは同じなのに。
ウチでは、25㎜と38㎜しか普段は扱いませんが、もし他の幅が欲しい場合はお問い合わせください。 10巻き入りの状態でなら、たぶん取り寄せ可能です。
ちなみに水張りテープ、驚くほどの値上がりをしました。 ご存知でしたか? 驚きですよ、マジで。
ご注文の際にはご注意お願いします。
もうひとつの豆知識
あ、あともうひとつ豆知識…。
先程『マジック』と書きましたが、『マジックインキ』は内田洋行という会社の持つ登録商標です。 ゼブラマッキーやサクラマイネームはマジックとは呼べません。 それらは油性マーカーか油性フエルトペンですね。
内田洋行は事務機器のメーカーです。マジックインキの開発及び製造を担当してるのは『寺西化学工業』という会社です。
3ダースはこの仕事を始めるまで…マジックインキを作っている会社がどこなのか、知りませんでした。(なんとなく “マジックインキ社” が作ってるんだと思ってましたよ)
だって、当時マジックインキ本体に製造元の名前が記載されてませんでしたから…。(たしか、電話番号は書かれていたかも)
そして業界に入ってしばらく経って、マジックインキが…3ダースが学生の頃に使っていた『ラッションペン』という水性カラーマーカーと、小学生の頃に使っていた『ギターペイント』という水彩絵具と、同じ会社で作っていることがわかり…感激した覚えがあります。
寺西化学工業、大きな会社ではありませんが、100年の歴史を持つ…確かな技術力の会社です。
【第32回補足終わり】















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