油絵の手引き書や美術の教科書などを見ると、巻末などにキャンバ
0号・1号・SM (サムホール) ・2号・3号・4号・5号・6号・8号・10号…。
そしてF・P・M・S。
あの寸法表を見ると、画材店に行けばすべてのサイズのキャンバス
ごめんなさい。
すべてのサイズなんて揃ってないです。
っていうか、揃える気はありません。
ご期待に沿えず、ごめんなさい。
3ダースも高校生の頃、全部画材店にあるもんだろうって思ってました
Fだけじゃなく、PとかMとか…店頭で比べながら自由に選べるん
ところが、実際にはあの『木枠寸法表』通りには揃ってやしません
そもそも、1号や2号や5号なんて…この世に存在しません ‼
あ、嘘です嘘です。
この世にはちゃんと存在してます。
でも、よっぽど巨大なお店か…よっぽどモノズキな店主の店でない
と言いますのも、1号・2号・5号は需要がまったく無いんですよ
買いたがる人がいない!
“皆無” なんです。
だから普通のお店ではこれらのサイズの枠張りキャンバスを在庫で
(長いこと売れないと、たるんじゃいますからね)
ちなみに、当店では1号・2号・5号のキャンバスを売ったことは
当然木枠も置いてません。
今後も、取り扱うつもりはありません!
でも、ごくごくごくごくまれに…そういう “変なサイズ” のキャンバスを『欲しい』と言うお客様がご来店なさいます。
こういうヒトは…だいたい油絵の経験のまったく無いヒト。
そんな、な~んにもご存知無いヒトに限って…『それが一番基本の
(過去に一人だけ、そういうお客様が実際にいらっしゃいました)
このようなご要望には丁寧にお断りしております。
だって、店に無いんだもん。
いや…取り寄せてお売りすることは出来ますよ。
でも取り寄せません!
絶対に!
だって、その人のためにならないから…。
と言うのも、描き上がった作品はどうするの?…ってハナシ。
飾れませんよ?
つ・ま・り、額縁が無いんです。
そういう “変なサイズ” の額ってのは…。
ちなみに、額縁業界では…1号・2号・5号というサイズは『この
う~ん、潔いですねぇ。
ウチは額縁も扱う店ですから、1号・2号・5号のキャンバスを売
“既製品に無いサイズ” の額を取り寄せるとなると『特寸』扱いになり、同じくらいの大き
絵が仕上がったら額に入れたい…って思ってるお客様に、あえてト
ですのでこういう場合、“この世に普通に存在する” 『0号』か『SM』か『3号』か『4号』か『6号』のキャンバス
おそらくほとんどの画材店はウチと同じように、1号・2号・5号
まあ、普段から油絵を描いてらっしゃるような先生方なら…1号・
これは油絵の世界の『当然の常識』ってやつですね。
読者の皆様は…常識、ちゃんとお持ちですか?
1号・2号・5号のキャンバスなんて、世の中にまったく出回って
でも…『一応存在はするのに需用がまったく無い』とか、しかも『
不思議ですよねぇ?
では、いつものごとく…歴史を振り返ってみましょう。
油絵や水彩など…洋画の技法や画材はヨーロッパ (主にフランス) から明治期に日本に入って来ました。
油絵具や油絵用の筆やキャンバス布などの国産化にはやはり時間が
構造を理解し、形を真似るくらいのことなら…日本の木工職人にと
ネックになったのは、木枠の寸法をどうするか…。
メートル法発祥の地であるフランス製の木枠は、mm単位の端数が
一方、当時の日本は尺貫法…。
画材の輸入販売をしていた東京のB社が明治26〜7年頃に…フラ
F4のフランスでのサイズは『33cm × 24cm』ですが、
F4の “日本サイズ” は『1尺1寸 × 8寸』という具合です。
この…日本サイズを決めた時に、フランスの木枠と完全に互換性が
『◯尺◯寸』って感じで…。
細かくてもせいぜい『◯尺◯寸5分』って感じの “5分(約15mm)刻み” で…。
B社は、当時フランスで生産されていた全てのサイズに対応出来る
実は…その当時のフランス国内における枠張りキャンバスの最小規
B社が参考にした当時のフランスの業界の規格は、現在の『フラン
B社による日本サイズ作成以降、木枠製造業者や全ての画材関連業
※ 実は当時のフランスには独自の勝手な寸法でF1・F2・F5の木
現在のフランスサイズとは数mm異なる寸法が記載された価格表が
でもこの資料の持つ意味は、
『フランスでは明治の頃にF1やF2やF5が正式に規格化されて
大正時代になると…第一次世界大戦の影響でヨーロッパからの輸入
やがて戦後しばらくして、気が付いたら…いつの間にかフランスの
日本では作っていなかった3号と4号のPやMも…フランスの寸法
それを知ってB社や日本の木枠製造メーカーも0号・1号・2号・
ここに、寸法表のラインナップと実際の商品のラインナップにズレ
というのも、F1とF2は…日本のSMの大きさとそれほど違わな
それに日本ではSMというサイズがとても好まれていて、すでに圧
つまり、日本の画材業界にF1とF2の入り込む余地はまったく無
F5が日本で普及しなかった原因はイマイチわかりません。おそら
『3ダースサン、明治24年頃にフランスの一部のお店で…それが独自
0号も含め、1号・2号・5号の寸法表の数値をご覧ください
0号も含め、1号・2号・5号の寸法表の数値をご覧ください。
※画像参照
日本サイズとフランスサイズの数値がまったく同じですよね?
逆にその他のサイズは…たまたま偶然同じ数値の箇所もありますが
要は、0号・1号・2号・5号は尺貫法に “翻訳” されなかった…ってことなんです。
つまりこれは、『日本の世の中のルールが “メートル法” に切り替わった戦後以降に、0号・1号・2号・5号の寸法が日本
日本では旧 “度量衡法” が1951
(昭和26) 年に廃止され、同年に旧法に代わる “計量法” が制定。
8年の移行期間を経て1959 (昭和34年) に完全に『メートル法化』が済みました。
それまでは “尺・寸・分” で書かれていた日本サイズもメートル法による表記に書き換えられ
3ダースは、先代の社長から『1号・2号・5号は寸法表の中だけに存
あったんですよ、商品が!
問屋さんの社員さんが倉庫の中のSMの木枠の隣の棚から間違って
実際には存在しない…って言われてたモノを目にしたので、まるで
ではまとめましょう。
『1号や2号や5号の木枠やキャンバスは、寸法表の中だけに存在
しかし、需要がほぼゼロなので…流通量は極端に少なく、めったに
もし、そういうサイズのキャンバスをうっかり買ってしまったとす
いかがですか?
わかっていただけましたか?
ですからホント、あの油絵の手引き書や美術の教科書に載ってる “木枠寸法表” にも困ったもんなんですよ。
いっそのこと、1号・2号・5号の欄は空欄にしてもらうか、塗り
だって、普通の店にはそんな変なサイズのキャンバスなんか置いて
とにかく、読者の皆様におかれましては…1号・2号・5号という
この世に実在しない、“想像上の生物” みたいな扱い…でいいと思います。
また、12号や25号や40号というサイズは…他のサイズに比べ
少数派です。
(40号に関しては…埼玉県を含むいくつかの地域では、けっこう
中でも25号はまったく買う人がいませんね。
特殊なサイズ扱い…に近いです。
額縁も…25号のサイズで既製品を作ってる額の種類は極端に少く
そしてPサイズやMサイズの枠張りキャンバスも、普通の画材店の
油絵の手引き書などを読むと…さも当然のように『人物はF型を縦
誰がそんなこと決めたんだ ⁉
F型で海を描いたっていいじゃないか ‼
っていうか、ほとんどの人がF型で風景や海を描いてるのが現実な
『どの号数でもF・P・Mの3種類から好きな形が選べます…』み
PもMも在庫してない画材店からしたら、えらい迷惑だ ‼
あ、少し言い過ぎ。
ゴメンなさい。
でも実際のハナシ、PやMもほとんど需要がありません。ほぼゼロ
これが現実です。
例えばF6のキャンバスが千枚売れてもP6は1枚も売れません。
F6が一万枚でP6が1枚…売れた…かな? いや、やっぱ売れてないな…。
Mに至ってはF6が十万枚売れても、1枚も売れないでしょうね。
それが現実なのです。
“世の中に普通に存在している” のはF型のみです。
PやMは圧倒的に少数派なんです。
こんな状況ですので、額縁のラインナップもPやMは極端に品薄で
つい面白がってPやMのような特殊な形で油絵を描いてしまうと、
(文化祭や高美展や県展に使うような組立式の “仮縁” でしたら、PやMの入手は全然難しくありません。ご安心ください
あ…これ、決して “必ずF型で描きなさい” って強制しているわけじゃありませんよ。
あの『木枠寸法表』をそのまんま鵜呑みにしない方がいいですよ…
F・P・Mでは圧倒的にFが優勢。
1号・2号・5号は実質…存在しない。
25号もほぼ存在しない。12号・40号も、少数派。
以上、キャンバスの大きさのウンチク話でした。
【第46回終わり】















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