今回は、尺貫法やメートル法…そして前回話題に挙げた『F型なの
さて、前々回に添付した資料をご覧になって『東京のB社の人はず
ん?
あ、いや…。え~と…。
それ、違いますよ…
前々回に添付した… “半端で細かい ㎜ 表記の数値” で書かれた寸法表は、1959年以降に効力が発生したものです。
明治の中頃にB社が作成した “明治時代の寸法表” は、今回添付した資料のような…『尺貫法表記』による寸法表だっ
みなさん、わかりますか?
明治時代ですから長さや重さの単位表記は尺貫法ですよ。
ここまでは付いて来れてますか?
現代のメートル法 (㎜) に換算すると…
1尺 = 10寸 = 100分 = 303.03㎜
です。
換算すれば、そりゃあ細かい数字になりますよ。
日本では尺貫法による計量をメインに据えた…明治時代から続く『
移行期間を経て1959 (昭和34) 年から完全に “計量法” を実施。それにより日本は、メートル法を主体とした社会に生まれ
これを『日本のメートル法化』と呼びます。
ですので、今回1枚目に画像添付した尺貫法表記の資料は…195
前々回に添付した “現行” の寸法表 (今回は2枚目に添付) は…おそらく1951年〜58年の間に尺貫法表記から ㎜ 表記へと換算・調整され、59年から公式に使われるようになった
今回は、日本がメートル法化する以前のおハナシです。
1893~4 (明治26~7) 年頃に東京神田のB社が、メートル法による表記だったフランスの
(その当時のフランスの “木枠寸法表” には…0・1・2・5号の『F・P・M』と、3・4号の『P・M
で…前にも申しましたが、その時にフランスサイズを尊重して “寸法の忠実なコピー” をしていたのなら、F4は…
『1尺0寸8分9厘 × 7寸9分2厘』
になっていたはずです。
そしてどのサイズでもそのような “忠実なコピー” がなされていたのなら…日本が尺貫法からメートル法に移行した時
しかしB社は60年後にまさか日本がメートル法化するとも思って
“1尺0寸8分9厘 × 7寸9分2厘”
にするのはではなく、木工職人さんが作業しやすいように
『1尺1寸 × 8寸』に決めたのです。
つまり、日本はフランスの寸法を忠実に真似る…のではなく、自分
尺・寸の単位からはみ出る端数の処理は…寸の10分の1の
『分 (ぶ) 』 ( = 約3.03㎜) の単位を使い、その数値は『0』か『5』で…つまり約15㎜刻み
15㎜刻みで最も近い数値を充てる…ということは、元のフランス
ええ、収まるはずなんですよ。
でもね、フランスサイズと日本サイズの ㎜ 表記の数値を見比べてみると、誤差は7㎜以内に収まってないんで
全然収まってないの!
『5分 (約15㎜) 』を用いる “調整” の手間を惜しまなければ…すべての号数においてフランスサイズと
では、詳しく見てみましょう。
1枚目と2枚目の画像を交互にご覧ください。
※ 10号Fについては後で触れます。
まず、30号のFにご注目ください。
フランスサイズでは
920 × 730㎜。
日本サイズでは
910 × 727㎜。
つまり、長辺が-10㎜、短辺が-3㎜小さくなっています。
長辺の誤差を最小にするのなら…長辺を3尺0寸5分 (すなわち924㎜) にしておけば…+4㎜の誤差で済んだはず。
しかし、B社の判断は10㎜もズレることになる3尺0寸0分を選
次は50号のFを見てみましょう。
フランスサイズでは
1160 × 890㎜。
日本サイズでは
1167 × 910㎜。
長辺が+7㎜、しかし短辺は+20㎜も大きくなっています。
長辺の誤差は7㎜ですから、これより小さくすることは出来ません
しかし、B社の判断は20㎜もズレることになる3尺0寸0分を選
次は80号のFを見てみましょう。
フランスサイズでは
1460 × 1140㎜。
日本サイズでは
1455 × 1120㎜。
長辺が-5㎜、しかし短辺は-20㎜も小さくなっています。
短辺の誤差を最少にするのなら、短辺を3尺7寸5分 (すなわち1136㎜) にしておけば…-4㎜の誤差で済んだはず。
しかし、B社の判断は20㎜もズレることになる3尺7寸0分を選
120号のFも見てみましょう。
フランスサイズでは
1950 × 1300㎜。
日本サイズでは
1940 × 1303㎜。
長辺が-10㎜小さく、短辺が+3㎜大きくなっています。
長辺の誤差を最小にするのなら…長辺を6尺4寸5分 (すなわち1955㎜) にしておけば…+5㎜の誤差で済んだはず。
しかし、B社の判断は10㎜もズレることになる6尺4寸0分を選
つまり当時の日本の画材業界は、フランスの画材業界がせっかく考
長さが10㎜とか…ヘタすれば20㎜もズレていようが、どうでも
タテヨコの比率が狂おうが、どうでも良かったんです。
(P10短辺とM12短辺は、フランスサイズよりも…なんと30
改めてF30・F50・F80・F120の日本の寸法を確認して
1枚目の添付画像を御覧ください。
F30の長辺は、3尺0寸5分に決めればフランスサイズに “より近付ける” のに、3尺0寸0分を選んだ。
F50の短辺も、2尺9寸5分に決めればフランスサイズに “より近付ける” のに、3尺0寸0分を選んだ。
F80の短辺も、3尺7寸5分に決めればフランスサイズに “より近付ける” のに、3尺7寸0分を選んだ。
F120の長辺も、6尺4寸5分に決めればフランスサイズに “より近付ける” のに、6尺4寸0分を選んだ。
もうお分かりですね。
木工職人さんがチマチマと『5分』の目盛を読まなくて良いように
特にF30の長辺とF50の短辺は、寸の位もゼロにして… “尺” だけで寸法が完結するようにしちゃってますね。
お手本であるフランスサイズの長さに “合わせる” とか…理想のタテヨコ比率を “守る” ということよりも、『製造効率』だけを優先していたということが
そりゃあそうですよ。なにも海の向こうの異国の寸法に囚われて、
“正確な寸法” だの “理想の比率” だのは、二の次…三の次ですよ!
こうして…ゆる〜く、木枠の日本サイズの寸法は決まっていったの
『10号F』の日本サイズとフランスサ イズについて
さて、後回しにしてあった『10号F』の日本サイズとフランスサ
1枚目・2枚目の画像をご覧ください。
フランスサイズでは
550 × 460㎜。
日本サイズでは
530 × 455㎜。
つまり、長辺が-20㎜…短辺は-5㎜小さくなっています。
長辺の誤差を最小にするのなら…長辺を1尺8寸0分 (すなわち545㎜) にしておけば…―5㎜の誤差で済んだはず。
しかし、B社の判断は20㎜もズレることになる1尺7寸5分を選
これ、なんか変ですよねぇ?
わざわざ『5分』の端数を付けて…20㎜もズラしちゃってますよ
おかしいですよねぇ?
これ、おそらくフランスサイズの寸法表の『550』を『530』
B社の人が読み間違えたのか、それともフランスサイズの寸法表の
あるいは単なる計算ミスか?
輸入した木枠を実測していれば、こんなにもズレるはずは無いでし
わざわざ “5分” の端数を付けているんですから、意図的に 530㎜ ピッタリの長さを…尺貫法で忠実に再現しようとしているように見
『ジャスト 530㎜ 』を狙っていた事が手に取るようにわかります。
しかし現実を見ると…敢えて “5分の端数” を付けてまでして再現した長辺が、実際のフランスサイズより20
そのため、日本サイズのF10は極端に…極端に正方形に近い比率
前回、短辺1に対して長辺が1.2以下しかない『正方形に近いグ
F8 (1対1.197)
F10 (1対1.165)
F20 (1対1.200)
F130 (1対1.198)
の4つでした。
でも、よく見て !!!!
F10以外はほぼほぼ『1対1.2』ですよね? ほぼほぼ!
F10だけが、全っ然違う比率!
このF10だけが極端に正方形に近い “異形 (いぎょう) ” だったのは、明治時代の読み間違えか印刷ミスか…はたまた計算ミ
(パチパチパチパチ)
ちなみにフランスサイズのタテヨコ比率も…全サイズ計算してみま
つまり、フランスサイズの中で唯一 “1対1.2” をわずかに下回っていたF10に…読み間違いなのか印刷ミスなの
誰かがちゃんと気付いてくれていれば…。
誰かがもう少し丁寧な計算をしてくれていれば…。
F10という、あんな極端な異形は生まれずに済んだのですが…。
とても残念です。
(3ダースは正方形に近過ぎるF10のカタチが大っ嫌いなのです)
F10以外の “正方形グループ” のメンバーも、フランスサイズから日本サイズに “翻訳” された際に “1対1.2” をわずかに割り込んでしまいました。
F8は、長辺がほんの少し短く翻訳されたため…。
F20は長辺がほんの少し短く…逆に短辺は長く翻訳されたため “1対1.2” を割り込んでしまったようです。
ちなみに…日本独自の “F130” というサイズは、フランスサイズには存在しません。
またこのF130はおそらく1975 (昭和50) 年より後に、F120の長辺とF100の長辺同士を組み合わせた
一方…150号以上の “大サイズ” は、戦前の1930 (昭和5) 年に…やはり日本で独自に作られた物です。
日本独自のサイズですので、フランスサイズの寸法表には150号
知ってますか?…書道で使う『半紙』って、F4とまったく同じ寸法
余談ですが…書道で使う『半紙』って、F4とまったく同じ寸法な
みんな『へ~意外だねぇ。偶然かなぁ?』って言います。
中には『じゃあ書道の連中、ウチらのパクリ?』なんて言う人まで
オイオイ、少し考えりゃわかるっしょ ┐( ̄ヘ ̄)┌
意外でもなんでもなく、昔から存在した1尺1寸 × 8寸の半紙と…後から入ってきたフランスのF4サイズがたまたま
今でこそメートル法で表記しているから『半紙もF4も ㎜ 単位までピッタリ同じなんてスッゲェ偶然』…なぁんて思っちゃい
むしろ、パクったのはウチらですよ。
【第48回終わり】














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