神保町画材マーケット2025 出展レポート
138年の歴史を持つ文房堂で、画材メーカーと来場者をつなぐ2日間
イベント概要
2025年9月26日(金)・27日(土)の2日間、東京・神保町の老舗画材店「文房堂」のギャラリーにて開催された「神保町画材マーケット2025」に、名村大成堂として出展させていただきました。
このイベントは文房堂主催の秋の恒例イベントで、9社の画材メーカーが参加し、来場者が実際に画材を試しながら、メーカー担当者に直接質問できる貴重な機会となっています。参加企業は、クサカベ、G-Too、名村大成堂、バニーコルアート、ベステック、ホルベイン、丸善美術商事、ミューズ、そして文房堂の9社でした。
文房堂という場所
138年の歴史を持つ老舗画材店
文房堂は1887年(明治20年)6月6日の創業で、2025年で138年という歴史を誇ります。創業者の池田治郎吉は、丸善創業者の早矢仕有的とともに福沢諭吉の門下生で、福沢諭吉が「丸善には西洋文化・言葉(書物)を、文房堂には西洋美術(画材)を」と役割を与えたという逸話があります。
1921年(大正10年)には日本初の専門家用油絵具を製造・販売し、日本の洋画界の発展に貢献してきました。現在の社屋は1922年(大正11年)に建てられ、関東大震災でも倒壊を免れた建物として「千代田区景観まちづくり重要物件」に指定されています。
現在では、画材販売だけでなく文房堂アートスクールも運営しており、デッサン、油絵、日本画、版画など多彩なアート表現を学べる場として親しまれています。
名村大成堂ブースでの活動
筆の試用体験と新製品紹介
名村大成堂ブースでは、人気の水彩筆(ノルム、ラフィーネ筆)やデザイン筆(線描筆)を中心に、実際に絵具で試していただけるコーナーを設けました。来場者の皆様には、筆の感触や描き心地を体験いただきながら、それぞれの筆の特性についてご説明させていただきました。
来場者からのフィードバック
実際に来場された方のレポート(note「神保町画材マーケット行きました」)では、以下のような声がありました:
「沢山相談に乗ってもらい、物凄く沢山の筆を試させてもらって本当に感謝しています。メモして行ってよかった。色々と教えて貰って、聞いて本当に良かったです。」
特に、ラフィーネのOW(キャッツタン)について、「水含みよく、極細線、広い面細かい面なんでも出来ちゃう便利な筆」「アクリルガッシュにも使えそう」というコメントをいただき、筆の特性をしっかり理解していただけたことが嬉しく思いました。
イベント全体の雰囲気
画材を楽しむ場としてのマーケット
来場者の方々は、各ブースを回りながら、実際に画材を試したり、メーカー担当者と話したりと、それぞれのペースでイベントを楽しんでおられました。「見てるだけでワクワクする」「人が試してるの見るの面白かった」という感想もあり、画材に興味のある方々が集まる穏やかな雰囲気のイベントでした。
他社ブースの展開
各社がそれぞれの強みを活かした展示を行っていました:
- クサカベ: イベント限定「コレクション」水彩絵具5色の販売と、ハルモニア、シングルピグメントの体験
- G-Too: コピックアクレア、ペコリスインク専用紙、コピック三原色セットの紹介
- バニーコルアート: ファーバーカステル水彩色鉛筆100色セットのお試し、限定色シャープペンの販売
- ベステック: ダニエルスミス水彩絵具のお試し、ハーネミューレの新製品紹介
- ホルベイン: 新商品「ホルベイン水彩色鉛筆」のお試し、Etchr商品の販売
- 丸善美術商事: シュミンケとセヌリエ透明水彩絵具、ラファエル筆のお試し
- ミューズ: 色鉛筆作家使用の水彩紙お試し(A5サイズ塗り絵タイプ)
- 文房堂: 「文房堂書店」として技法書や大人の塗り絵を販売
同時開催の芦屋マキ個展
文房堂Gallery Cafeでは、イベントのメインビジュアルを手がけたイラストレーター・芦屋マキさんの個展「光を撫でる夢を見る」が同時開催されていました(9月17日-30日)。来場者からは「美しく繊細で丁寧なイラストがとても素敵」「カフェ展示ですがとても見やすくて、じっくり見れてとても良かった」という感想があり、イベント全体の芸術的雰囲気を高めていました。
引き継ぎと今後の展望
12月からの新担当として
今回のイベント参加は、先輩が定年を迎えられるため、12月から私が文房堂様との窓口を担当することの引き継ぎも兼ねていました。長年にわたって関係を築いてこられた先輩の後を継ぐ責任を感じつつ、文房堂様のスタッフの皆様にも温かく迎えていただきました。
画材文化の継承
神保町は古くから画材店やギャラリーが点在する街で、来場者からも「神保町ってあまり行ったことなくて、歩きながら眺めてるとギャラリーや画材屋さんも色々沢山あるの気が付きました」という声がありました。このような場所で、画材メーカーとして継続的に活動できることの意義を改めて感じました。
まとめ
神保町画材マーケット2025への参加を通じて、来場者の皆様と直接対話し、筆の特性や使い方について詳しくお伝えできたことは、出展者として大変有意義な経験でした。
文房堂様の138年という長い歴史と、福沢諭吉の時代から続く「西洋美術(画材)の普及」という志を継承する場に参加できたことを光栄に思います。12月からは新しい担当者として、この関係を大切にしながら、画材文化の発展に貢献していきたいと考えています。
来年の神保町画材マーケットでも、また多くの画材愛好家の皆様にお会いできることを楽しみにしています。
イベント詳細
● 開催日: 2025年9月26日(金)10:00-18:00、27日(土)10:00-17:00
● 会場: 文房堂ギャラリー(文房堂神田本店4階)
● 住所: 東京都千代田区神田神保町1-21-1
● 主催: 株式会社文房堂
● 参加企業: クサカベ、G-Too、名村大成堂、バニーコルアート、ベステック、ホルベイン、丸善美術商事、ミューズ、文房堂(9社)
● 入場料: 無料
● 同時開催: 芦屋マキ個展「光を撫でる夢を見る」(文房堂Gallery Cafe、9月17日-30日)













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