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第10話_上質紙と模造紙のハナシ②

それでは、3ダースさんから来たメルマガ「画材沼-知識の確認-」
を皆様にシェアーしたいと思います。

第10話の内容は、『上質紙と模造紙のハナシ②』です。

①話では、更紙(ざらがみ・ざらし)等を中心に詳しく解説してくれました。
②話では、模造紙の歴史から本質まで色々調べてもらい解説しております。

繰り返しますが「画材沼-知識の確認-」は、3ダースさんを理解している方
のみのメルマガの為、一般向けではありません。

その辺りを理解して頂いた方のみ読んで頂き知識を深めていただけたら幸いです。

それでは、第10話『上質紙と模造紙のハナシ②』を始めます(笑)

そもそも、“模造紙”って何?

 

現在『模造紙』の名前で売られている紙は、
薄くて白くて大きくて書きやすくて…値段の高くない紙。

まあ、おそらくこれが“模造紙という紙”に
求められている条件なのでしょう。

この条件をすべて満たす紙って、上質紙ですよねぇ?
上質紙しか、ないですよねぇ?

画用紙やケント紙じゃあ厚すぎるし、値段も高いでしょ?

上質紙の一択しか、答えはありませんよ。

 

ですので、ほとんどの小売店では
上質紙の全判(四六判)を
“模造紙”
として売っています。

おそらく、その事に問題は無い…と思います。

 

ただ、『これ、本当に模造紙なの?』ってお客さんに問い詰められた時、
文房具屋や画材屋の店員達はちゃんと答えられるんだろうか?

3ダース
そもそも、“模造”って何?

 

前回、上質紙とは何なのかを考えました。

上質紙は印刷にも筆記にも最適な…
汎用性の高い非塗工紙であり、
経産省の認めた上級印刷紙であり、
化学的方法によって作られたパルプ100%で作られ、
変色の恐れのある機械的方法でのパルプや古紙パルプの混入は許されていない…
白色度75%以上の白い紙。

 

この条件と模造紙の条件、どれだけ合致するのでしょうか?

模造紙の条件

 

『薄くて白くて大きくて書きやすくて…値段の高くない紙』が、
模造紙に求められている条件でしたよね?

まず厚さから見てみましょう。

上質紙にはだいたい5~7種類の厚さがあります。
薄いものはだいたい<55>です。
もっと薄い<45>ってのもあるみたいです。
まぁ<55>でも充分薄いですよね?
だって、普通のノートの紙より薄いんですから…。
逆に、これ以上薄いと使いづらいハズです。
消しゴムでこすればグシャグシャになるし、
マジックのインクも裏抜けしちゃいますから…。

色の白さは申し分ないですね。まっ白ですよ。
しかも、厚さが薄いのに裏が透けません。
これはスゴイ!

大きさは?

上質紙の原紙寸法は四六判です。
ケント紙の全判と同じ大きさです。
面積で言うと…約0.86㎡。
JISのB1規格サイズよりも、
画用紙のB本判よりも、
ひとまわり大きいんです。

そして、非塗工紙だから書きやすい。
ノートにも使われるくらいの紙ですから、
書きやすさは抜群です。

じゃあ値段は?

上質紙は、名前ほど立派な紙ではありません。
たくさん作られている…ごくありふれた紙ですから、
当然お値段も高くはない。

 

ほ~ら、完璧でしょう?

模造紙=上質紙で間違いないんです。

 

3ダース
じゃあ、残された疑問…。『模造』ってナニ?

何かの真似でもしたの?
パクり?
ニセ物?
イミテーション?
まがい物?

 

そうです。
『模造紙』の名の由来は
“何かを真似て作ったイミテーション商品”
って意味です。

 

じゃあ、その真似の歴史をざぁっと振り返ってみましょう。

模造紙の歴史

 

明治の初めのころのお話です。

 

コトの始まりは『和紙』なんですよ、日本古来の…。

越前(今の福井県)の五箇(ごか)という地域で昔から作られていた
『鳥の子紙(とりのこがみ・とりのこし)』が最初の“お手本”。

3ダース
この紙は、雁皮(がんぴ)という木の皮から取ったパルプを主原料にして
作られていたようです。

表面はとても滑らかで光沢があり、薄くてしなやかな紙だったらしいです。

しかし雁皮という原料はとても稀少だったので、量産には向きません。

 

明治政府の“大蔵省印刷局抄紙部”が紙幣用に独自の紙を作る必要があり、
この鳥の子紙をお手本にすることになりました。

五箇から職人達を呼び寄せ、
稀少な雁皮に替えて品種の近い
三椏(みつまた)の皮から取ったパルプを原料に選び、
研究を重ねました。

やがて、雁皮を使った鳥の子紙に引けを取らない…
質の高い和紙が作られました。
その紙は美しく緻密で光沢があり、
折り目からちぎれることもなく、
細密な印刷ができる…と好評だったようです。

3ダース
言わばこれが最初の『模造』ですね。
『鳥の子紙』の真似をしたんですから…。
職人さん、見事にレベルの高い“模造品”を作ってくれました

 

で、この印刷局抄紙部で作った紙は『局紙(きょくし)』と名付けられ、
紙幣や債権証書だけでなく、印刷用紙として一般にも販売されます。
そして1878(明治11)年、パリで開催された万国博覧会にも出品され、
なんと金杯を受賞!
高級印刷紙として人気を博します。

三井物産も局紙を積極的に輸出したようです。
見本帳には『ジャパンシルクペーパー』と名前を付け、
フランスはもとより欧州各国で相当売れたようです。
ちなみに、1919年に結ばれたベルサイユ条約の調印用紙にも、
この局紙が使われたんだとか。

 

その局紙を分析・研究したオーストリアの製紙会社が、
1898(明治31)年に化学的方法による木材パルプである“亜硫酸パルプ”を原料にし、
局紙に似せた紙を造りました。
シミリージャパニーズペーパー(『“日本の紙”の模造品』というような意味)の名前で
売り出したそうです。
(ちなみに、ドイツ語で『simili』とは、宝石など…価値の高いものの『模造品』のこと)

3ダース
これが二つ目の『模造』になるわけです。
※ヨーロッパでの模造はこれより10年くらい早かったはずだ…
という説も有り

 

ちなみに、開発当初の局紙は手漉きの和紙でした。
しかし、オーストリア産の紙はもちろん抄紙機による大量生産です。

この“模造局紙”は折り目からちぎれてしまうような品質で、
金杯を獲った局紙とは比較できるものではなかったようですが、
値段は局紙の3分の1だったので需要は充分ありました。

その後、ヨーロッパの模造局紙は日本に
輸入されるようになります。

いわば局紙の本家へ逆輸入…ってことですな(笑)

オーストリア産・スウェーデン産・ドイツ産など、
さまざまな模造局紙が押し寄せてきました。
中でもドイツ産の模造局紙は、軟らかさがあって色は純白、
キレイな光沢があり強度も強く、いろいろな印刷に適合するものでした。

国内の製紙会社はこれに危機を覚え、
1912(明治45・大正元)年…
当時九州製紙の社長をしていた“日本の製紙王”大川平三郎氏は技師に
『模造局紙の模造品』を作るよう、研究させました。

3ダース
翌1913(大正2)年6月、九州製紙において国産模造紙が完成!
これが、三つ目の『模造』ってことです。

作り上げた技師は、製紙王の親戚の大川理作氏。

 

と、まぁ、
ここまでのことなら誰でも簡単に調べられます。
ネットを頼れば…ものの数分です。

『模造紙なんて、和紙を模造した外国の洋紙だぁ!』くらいの答えなら
小学生でも3分で到達できます。

『模造紙ってのは、和紙を模造した外国の洋紙を…
さらに模造した国産の洋紙だぁ!』っていう答えなら、
中学生でも5分で到達できるでしょう。
3ダースもこの程度のことなら三十数年前にはとっくに知ってました。

しかし今はネット社会です。
今の高校生なら、
7~8分くらいかければ『ハナシの元になった局紙すらも、
鳥の子紙の模造品ってことだぁ!』って理解できてしまうでしょう。

 

でも…、誰もこれより先には足を進めない…。

なぜ?

本当に知りたいことは、この先にあるのに…。

 

今回も3ダースは…ネット上に転がっているさまざまな記事を読み漁りましたが、
みんな『模造の模造』とか『模造の模造の模造』って事がわかったあたりで満足しちゃって、
その先に進んでいない。

3ダース
ネット民たちよ!
進めよ、もう一歩

 

ってことで、3ダースはさらに深掘りします。

『いままで調べてきた“歴史上の模造紙”と、
現代の模造紙は同じものなのか?違うものなのか?』

 

徹底的に調べましたら、
どうやら模造紙には3種類の“規格”があったようです。

『A模造』『B模造』『C模造』の三つです。

A模造は、
化学的方法によるパルプ100%で作られ、
表裏の両面に艶(つや)付け工程が施されたもの。

B模造は、
片面だけの艶付け。

C模造は
漂白されていない、未晒しのパルプで作られた…茶色いもの。

これらはおそらく大正8年11月に製紙聯合会において締結された
『模造紙に関する協定』にて定められた規格…かと思います。

ちなみに“艶付け工程”とは、抄紙工程の最後のパートで『スーパーキャレンダー』という…
何本ものローラーからなる機械で行います。
これはローラーとローラーの間に紙を通し、
熱と圧力で紙の表面を平滑化させ、光沢を与えるもの。
まあ、いわば紙にアイロンをかけるようなものです。
ローラーは金属製のものと繊維を圧縮した弾性ローラーとを何段にも積み重ねた構造です。

 

三つの規格のうち、すでにB模造とC模造は作られていなく、
A模造だけが現在も製造されているようです。

そして35g/㎡以上を厚口、それ未満を薄口というそうな…。

 

 

え~~~~~っ?
薄過ぎない?

 

35g/㎡って言ったら四六判の連量換算で<30>だよ?
トレーシングペーパーより薄いんだよ?
こんなに薄くちゃ、一枚を筒状に巻いても、
ちょっと力を入れて握ったらくっしゃくしゃになっちゃって、
壁新聞なんか書けませんよ!
学校で紙を配布されて…家まで持って帰る間に、
生徒全員が握り潰しちゃうでしょう。
それに薄過ぎて…マジックのインクは裏に抜けて、
机を汚しちゃいますよ!

つまりこのA模造、
我々が知ってる『壁新聞を書くための模造紙』
とはまったくの別モノってことなんです。

我々が現在買うことが出来る壁新聞用の模造紙は、
A模造でもないしB模造でもないしC模造でもなかったんです。
ホンモノの模造紙ではなかったんです!

40年くらい前…
3ダースが小学生や中学生だった頃、
壁新聞や自由研究の発表に使ってた紙も、
こんな薄っぺらなA模造じゃなかったハズ。
正確に記憶してるわけではありませんが、
おそらく当時も上質紙のことを模造紙と呼んで
使っていたんだと思います。

だから、ずっとずっとず~っと昔から、
ホンモノのA模造が存在していたのにもかかわらず、
“壁新聞用の模造紙”というポジションには
『上質紙の全判』が鎮座していたんです。

一方…ホンモノのA模造の方は、壁新聞なんかには向きません。
あまりに薄くて向こうがうっすら透けちゃいますから。
それに薄過ぎて、消しゴムを使ったらグシャグシャになります。
書き間違ったら悲惨です。っていうか、
下書きの鉛筆の線すら消せません 

 

つまり、A模造は我々が考えている模造紙の使い方はしないんです。
出来ないんです。

 

では、今も売られているはずのめちゃくちゃ薄いA模造って、
どこにあるのでしょうか?
(3ダースも見たことないんですよ)
そして、それを使う人は一体どういうことに使ってるんでしょうか?

 

調べるとA模造の坪量は30g/㎡と35g/㎡の2種類が存在しました。

うわぁ、やっぱり薄い!

30g/㎡なんて、
連量換算で<26>ですよ。
コピー用紙の半分以下!

日本製紙が現在も作っているA模造の『A銀嶺N』は
“包装用紙”のカテゴリーに分類されていました。
 確かに…表裏の両面がツルツルの包装紙は、
印刷をすれば高級包装紙になるはずです。

つまりこのA模造という紙は、
原紙のままの状態で文房具屋や画材屋に来る紙なんかじゃなく、
印刷工場を経て…百貨店や高級ブランド店に
“薄くて高級な包装紙”として送られる紙なのでしょう。

 

さらに調査を続け、
最もA模造を使いこなしているであろう業界を見つけました!

薬学業界・理化学業界です!

製薬会社の研究室や化学の実験室、
学校の理科室、
調剤薬局など…。

上皿天秤とかで粉末を計量するとき、
うっすい紙を使うでしょ?

アレですよ、アレ。

『薬包紙』っていうんですけどね。
調剤薬局では、
粉末の薬を分包するのに使っていました
(今では機械で袋に封入しちゃうそうです)。

一応今でも『A模造』や『純白ロール』、
『パラフィン(パラピン)』、『硫酸紙』なとが、
薬包紙として商品化されています。
(詳しくは補足編で)

3ダースも実物が見たく、
MonotaRO(モノタロウ)の通販で取り寄せてみました。
4種各1箱、送料含めて約3,000円でした。
経費から出せませんから、もちろん自腹です!

A模造は表裏両面がすべすべなので、
粉末が紙の表面に引っ掛からないため、
粉末の薬品を扱う人達に重宝されているのがよくわかりました。
ちなみに鉛筆は…
紙の表面に引っ掛かりが無いため…
全然濃く書けませんでした。
消しゴムをかけるときは、
紙の周りを完全に押さえていないと…案の定グシャグシャになります。

 

色々調べて分かったこと

 

ホンモノの模造紙(A模造)は今でも存在します。
向こうが透けて見えるくらい薄くて、表裏両面に艶がある紙です。
その主たる用途は高級包装紙と薬包紙でした。

何度も言いますが…このホンモノの模造紙は、
みなさんが思っている模造紙の使い方はしません…っていうか、
薄過ぎるために出来ません。

壁新聞や自由研究の発表には…もう少し厚く、
裏が見えないくらいまっ白で、
鉛筆や消しゴムが普通に使える…
つまりノートの紙のような艶の無い表面で、
1枚を筒状に巻いても簡単にくしゃくしゃにならないくらい丈夫な紙。

すなわち、壁新聞にするのには“上質紙”が最適なのです。

これが前回の冒頭で…
『模造紙と上質紙は同じものです!』と言い切った理由です。

しかし、そのあとに続けて…
『いや、厳密に判断すると本当は“別モノ”なんですよ。
でも、“常識的な観点”で見たら同じものと言ってしまって良いと思います』
と言いました。

そうです。
厳密に言えば、
壁新聞用の上質紙を“模造紙”と呼んでしまうのは、
歴史上の事実から外れた…間違った行為!

しかし、
世の中のほぼすべての人が、
全判の上質紙を模造紙と呼んでいる現状を、
イチイチ目くじらを立てて否定するのもどうか…と思います。

 

ホント、どうなんでしょうねぇ。

もはや“模造紙”というコトバは紙の種類を表すコトバではなく『大きさ』を
表すコトバになっている…と考えれば、すべて納得がいくんじゃないかな、
と思いますよ。

3ダース
『模造紙』とは、“全判の大きな紙”を指すコトバ!

そう思いましょう!

それでいいんじゃないですか?

 

なぜこういう齟齬(そご=食い違いのこと)が生まれたのか…というと、
『小中学校の教員が、大きな紙はすべて模造紙と呼び、
小さな紙はすべてわら半紙と呼んでいた…』という時代があったからです。

今から45年くらい前の学校現場って、
全国的にそんな感じ。

紙の種類や紙の名前っていう意識なんかちっとも無く、
デカイ紙を全部ひっくるめて『模造紙』と呼び、
紙の種類や紙の名前っていう意識なんかちっとも無く、
B4くらいの紙を全部ひっくるめて『わら半紙』と呼んでいたんですよ、
当時の教員って。

だから壁新聞を書いている紙が…
模造紙ではなくて上質紙なのに、
その大きさが全判だったために『模造紙』と呼ばれた。

そういうことです。

 

繰り返しますが、
『模造紙』というコトバはサイズ、
すなわち紙の大きさを表すコトバ
だと思っていただければ、すべてが解決するのです。

【第10回終わり】

 

補足編-薄い紙の紹介-

 

では、薄い紙をいくつかご紹介。

まず『純白ロール』の説明です。

この紙、
名前を聞くと“ケントロール”とか“シリウスロール”みたいに、
10mとかの長い紙を巻いてある“ロール紙”のように思われますが、
この『ロール』とは“艶付け加工のローラー”のことらしいんですよ。

つまり、片面だけではありますが、
ロール(ローラー)掛けして艶付けされた紙ですよ
っていう意味の名前。
ロール紙なのかと間違われますんで、マジで紛らわしい名前です。

用途は包装紙や、荷物の隙間にくしゃくしゃにして入れる“緩衝材”。

 

この手の薄い紙って、
いくつかありまして、
一番よく見かけるのは『薄葉紙(うすようし)』ですかね。

めちゃめちゃ薄くて柔らかいんです。

新品の洋服(ワイシャツとか)をくるんであったり、
靴なんかもお店に並んでるときは箱に入って紙にくるまれてますよね。

あの紙が薄葉紙です。
(靴の中に突っ込んであるのは更紙のことが多いかな?)

美術品や遺跡から出土した文化財なんかも、
保管するときに紙にくるんだりしますよね?
あれも薄葉紙。

まぁ、美術品や文化財には専用の薄葉紙もあるみたいです。

 

あと、辞書の本文用紙に使われる『インディアペーパー』
薄いですねぇ。
バイブルペーパーって呼ぶ場合もあるみたい。

辞書や聖書ってページ数が多いため、
紙が薄くないと本になりませんよね。
ですが、紙を薄くすると裏が透けます。

ですから
インディアペーパーは透かさないために紙の原料に填料(てんりょう)ってものを
けっこう混ぜるんです。
内添(ないてん)填料とも言います。
(塗工紙の場合、塗料内にも填料に相当するものが混ぜられることもあるため、
原料の中にあらかじめ入れるのを内添と呼ぶわけです)

粘土の粉末(クレイ)や滑石の粉末(タルク)や
石灰石の粉末(炭酸カルシウム)などが使われます。
この填料、ほとんどの紙に混ぜられてるんです。

パルプの繊維(具体的に言うと、セルロース繊維)同士の
隙間を填料で埋めて、光の透過を妨げ…透けないようにするんですね。
まぁ、充填剤ってことです。

実際は透け対策以外の役目もいろいろあって、
填料って紙にはほぼ必要不可欠な存在なんですが、
実はA模造には填料が入ってないんですよ。
B模造やC模造も、填料無し…だったはず。

だからA模造は透けやすかったんです。

3ダース、
ティッシュやトイレットペーパー以外の紙で填料を使ってない紙を初めて見ました。

これ、燃やすとわかるんですよ。
填料を入れてない、パルプだけの紙は、灰がほとんど残らないの。
だからA模造は燃やしたらなにも残らなかったんです。

填料が入ってる紙は、黒い灰が…ほぼ紙の形になって残ります。
純白ロールは黒い灰が見事に残りました。

あ、一緒に燃やした硫酸紙とパラフィン紙も、填料無しでした 

これは製法が理解できてれば、当たり前な答え。

 

『パラフィン紙』は、グラシン紙に蝋を染み込ませた紙。
めちゃめちゃ透けます。
ただ、鉛筆で字は書けません。

この元になる『グラシン紙』ってのは、
よく、パステル用スケッチブックの中に、
パステル用画用紙1枚ごとに挟んである、薄い半透明な紙のこと。

紙って、
セルロース繊維で出来てますが、
その隙間に空気がたくさん入っているため、
光が透過せず乱反射して不透明に見えるんです。

紙に油をこぼしたりすると、だいぶ透けますよね?
あれは油が紙の隙間の空気を追い出して、
そこに油がとどまるため紙全体の光の透過性が上がるから。

で、グラシン紙の場合は、原料のパルプをこれでもかってくらい叩いて叩いてほぐし、
空気の入る隙間を作らないくらい押し潰しながら作るんです。
ここにもスーパーキャレンダーが使われます。圧力をかけて薄く伸す(のす)イメージです。

紙風船(富山の薬売りのオマケ…って言っても若い人にはわからないか)の紙は、
グラシンらしいですね。
詳しくはWikipediaでグラシン紙を検索お願いします。

物理的に光の透過の邪魔をする填料も入ってないし、
空気も押し出しながら作られているからグラシン単体でもけっこう透けるんですが、
そこにパラフィン蝋が染み込むわけだから透明度はアップしますよね。
表面も平滑になるから、一番透けます。

 

『硫酸紙』ってのは、
いわゆるトレーシングペーパーのこと。
紙を硫酸液に浸すと、セルロースが変性し、
ゲル状に膨潤(濡れて膨らむこと)するんです。
すると紙の隙間から空気が追い出され、
膨れたセルロースが繊維の隙間を完全に埋めます。
隙間無く均一の物質になるので、光が透過しやすくなるんですです。
そもそも、もとのセルロースは光を通しやすいんで…。

硫酸液に浸した後、中和処理されますから、
硫酸紙という恐ろしい名前ですが、無害です。

 

その他に薄い紙は『ライスペーパー』ですかね。

あ、これ、生春巻とかに使うベトナム産の食材のことじゃないですからね。

名前は一緒ですが、紙巻きタバコの“巻き紙”のことです。
辞書に使う紙をライスペーパーと呼ぶ場合もあります。

 

以上、薄い紙のご紹介でした。

 

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