絵画というと真っ先に思いつくのが「水彩画・油彩画」というイメージをお持ちの方多いのではないでしょうか?
アクリル絵の具=学生の時のポスターを描く絵具
という考えはもう古いですよ!
お任せください!
近年急速に利用者増加中で研究開発されている「アクリル絵の具」。
透明水彩や油彩絵具に負けない表現ができるようになってきてます。
絵画初めての初心者さんから新しい画材道具に挑戦したい上級者の方まで、
画材を選ぶ人にお役立ちの「アクリル画編」。
ぜひ参考にしてくださいね!
1.アクリル絵具とは?
アクリル絵具とは、簡単に言うと「顔料とアクリル樹脂の溶液」で練られた絵の具のことです。
アクリル樹脂の溶液には水が含まれています。
この水分は時間が経てば蒸発してアクリル樹脂溶液になります。
顔料の混ざったアクリル樹脂は性質上硬くなりこのことを「堅牢性」と言います。
メーカーの商品解説でも、絵の具の特長を表すためによく使われている言葉です。
アクリル絵の具は固まっていくと、塗った当初とはやや色味が違ってきます。
また、アクリル絵の具の特長の一つに速乾性・重ね塗りが容易という点もあり
この点を上手に生かせば制作がはかどると思います。
参考:ターナー色彩資料によるアクリル絵具説明
1-1.アクリル絵の具の種類について
アクリル絵の具は大きく分けて3つに分類されます。
それぞれ特徴があり分類を理解していると表現の幅が広がると思います。
①アクリル絵具=「透明タイプ」
<特徴>
- 透明性があり、乾くと艶が出る。
- 水彩絵の具を使うような感覚で、油絵のようなはっきりとした表現が可能。
- 水分量を調節したりして、水彩絵の具の様にも使えさらに下の色を活かしつつ重ね塗りができる。
速乾性が高く、非常に多くの素材に美しく描画ができるタイプです。
メディウム類(補助絵具)を使用することで、油絵具のような作品を比較的簡単に描くことができます。
また柔軟性があるので、布などに塗って乾いた後も、絵の具の割れは少ないと言われています。
透明というだけあって絵の具の透明性が高いので、重ね塗りを行うと下に塗った色が反映されて、深みのある色を表現できます。
<まとめ>
- 水で薄めなくてもそのまま使えます。
- 薄めて使えば水彩に近い感じにはなりますが、ビニールっぽさは残ります。
- もちろん、そのままでも、ビニールっぽい感じはあります
- 様々なメディウム、マチエール素材を混入することで異なる質感に変えることが出来ます。
- 強い耐水性、耐候性があり、屋外設置の作品に使用も可です、耐光性は色によって違います。
- 色によって程度は異なりますが、透明性があり塗りムラが出来るので均一に塗るには適していません
②アクリルガッシュ=「不透明タイプ」
<特徴>
- 不透明性で、ポスターカラーのようにムラのないべた塗が可能。
- 乾くと均一な艶消しになる。
- 効率的に描画出来るので美術系大学のデザイン科などの入試における平面構成や
イラストレーション、建築のパースなどに用いられる。
透明なアクリル絵の具と比較して、絵の具に含まれているアクリル樹脂液の量が少なく、
その分、顔料が多くなっているのが、不透明(ガッシュ)と呼ばれるアクリル絵の具です。
絵の具の塗布時に筆跡・筆ムラが出にくいので、広い面を塗る場合に美しい仕上がりにしやすいことが特徴です。
ガッシュは基底材の色や、下に塗った色を覆うことができるので、テキスタイルデザインなどの
デザイン画を描く時によく選ばれる絵の具です。
描いた後はマットな仕上がりになるので、プラモデル・フィギュア・DIYなど絵画以外で使う方も多数います。
しかし、ガッシュは透明絵の具より柔軟性が低いので布類などに使うと割れが起きることがあります。
<まとめ>
- 普通は適度な量の水で溶いて使いますが、水で薄めなくてもそのままでも使えます。
- 透明水彩のようにたっぷりと水を使って薄めて使うと透明にもできます。
- メディウムやマチエール剤の混入は出来ません(例外はあり)、本来のマットな質感を生かして使うものです。
- 耐候性はありません、耐光性もアクリル絵具より劣ります(ポスターカラーよりはある)。
- 耐水性もあるけれどこれもアクリル絵具より弱いですから基本屋外設置の作品には向いていません
- 不透明なのでムラが無く均一に塗れます
ポスターカラーとアクリルガッシュの違い
よくある質問でポスターカラーとアクリルガッシュの違いを聞かれます。
両方とも不透明調の絵の具で下地を塗りつぶす事ができ大きな面でもムラなく塗ることが出来ます。
ポスターカラーは、バインダー(顔料を定着させる糊)に水溶性樹脂を使用しているので、乾燥後も水に濡れると絵の具が溶けます。
アクリルガッシュは、バインダー(顔料を定着させる糊)にアクリル樹脂を使っているため、一度乾くと耐水性になり絵の具が水に溶けません。
筆やパレットに絵の具を付けたまま放置すると固まりますのでご注意下さい
③リキット(液状)=安定した色と広い面塗りに便利!
<特徴>
- 液体ならではの表現がつくれる。
- 支持体の上で特殊な効果を出すことができます。、
- 絵の具を垂らすときのスピードや画面からの距離、注ぎ口の大きさや形を変えることで
絵の具の流れや液滴の大きさ、形をコントロールできます。 - 色の違うリキットタイプを同時にあるいは時間をずらして一緒に使うと面白い技法ができます。
- エアブラシを使用することで大きな面をムラなく塗れます。
最大の特徴は最初っから液状にすることで時間の経過とともに顔料が沈殿することを防ぎます。
また、水分が多いため、水彩画のような作品を描きたい場合にも使えますが顔料がやわらかく、
耐光性も低いので、できるだけ室内展示用の作品に使用した方が良いタイプと言えるでしょう。
<まとめ>
- 普通は適度な量の水で溶きますがリキット状なので安定した色彩が約束されている。
- 水で薄めなくてもそのまま使える
- 耐光性も低いので、できるだけ室内展示用の作品に適している。
2.商品紹介
ここでは代表的なメーカーの商材を取り上げ特徴を紹介していきます。
2-1.ゴールデン絵具=ピュアな色による作品の鮮やかさを追求する人にお勧め
単一顔料だから、つくれる色があります。
普通色85色のうち、60色が純粋な単一顔料です。
さらにメタリックとパールカラーが加わり、全98色をラインナップしています。
ゴールデンアクリリックスの単一顔料へのこだわりは、「好みの色を作るのはユーザーの権利であり、
それを実現するために純粋な絵具を作るのがメーカーの義務である」という確かなポリシーに基づくものです。
多数の顔料から作られた色を混ぜ合わせると、どうしてもにごりや くすみが生じます。
しかし、色の好みは人それぞれで、自分の色を探求するほど混色は避けられません。
その時に可能な限りピュアな美しい色が作れるよう、これだけ多くの単一顔料を用意しているそうです。
参考:ゴールデン絵具色見本
2-2.ターナーアクリルガッシュ=教育現場で選ばれるナンバーワン絵の具
モチーフもテクニックも自由自在でひとりひとりの創造力に応える絵の具です。
強い接着力とムラなくしっかりとしたノリのよさ。
そして、あざやかな発色が生きる、デリケートなつや消しの仕上がり。
さらに重ね塗りや溶き方の濃淡、すぐれた耐水性を生かせば、個性の表現は思いのままに出来ます。
タフでしなやかなアクリルガッシュは、アーティストの描きたい気持ちに応え、かぎりない創造力を触発しています。
また、教育現場の採択で一番選ばれている絵の具なので使ったことがある人は多いはずです。
参考:ターナー色彩色見本
2-3.ゴールデン絵の具フルイド=発色の美しさと安定した色彩力
液体ならではの表現がつくれるのが特徴です。
ゴールデン・フルイドはキャンバスの上に、
pouring (絵の具を注ぐ)
puddling (絵の具を水 溜まりのようにする)
dripping (絵の具を滴らせる)
dragging(塗った絵の具 を毛先などで引きずるようにしてこすり取る)
などの特殊な効果を出すことができます。
絵の具を垂らすときのスピードや画面からの距離、注ぎ口の大きさや形を変えることで
絵の具の流れや液滴の大きさや形をコントロールできます。
色の違うフルイドを同時にあるいは時間をずらして一緒に使うと面白い技法ができます。
参考:ゴールデン・フルイド色見本
2-4.アムステルダム アクリリックカラー=コストパフォーマンスNO.1
ロイヤルターレンスの大作用アクリル絵具。
20mlから1000mlまでの幅広い容量バリエーションを揃え、
配色バランスが良く混色もしやすく、多彩な表現が可能で価格がリーズナブルの為
多くのアーティストから人気を集めています。
基本70色に特別色10色を加えた全80色もあります。
参考:アムステルダム色見本
2-5.アキーラ[AQYLA]=アクリル絵具の進化形
耐水性の絵の具では珍しくバインダーに!水性アルキド樹脂を使った絵の具!
耐水性の絵の具と言えば、今回ご紹介しているアクリル絵の具や、油絵に使用する油絵の具などが一般的ですが、
世界で初めて水性アルキド樹脂を使って作られた耐水性の絵の具がクサカベの「アキーラ」です。
使い心地は他のアクリル絵の具と変わりはありませんが、乾くまでの時間が他のものより長いので修正などができます。
また、版画作品を多数刷る時にも便利です。
水性アルキド樹脂というのは塗料(ペンキ)業界でよく使われている樹脂で、堅牢性が非常に高く
アクリル樹脂と油の両方の性質をもっています。
乾きがゆっくりな特徴の他にアクリル絵の具が不得意とする油性の画面の上にも描画ができるのが最大の特長です。
耐水性が欲しい時、さらに油性面への着彩が必要な時に、大変便利に使える絵の具と言えます。
参考:アキーラ色見本
3.メディウムについて
より表現の幅を広げたい人におすすめなのがメディウムの活用です。
アクリル絵の具には「一緒に使うことで、描く絵の表情が変わる」ような補助絵具があります。
補助絵具は、一般的に「メディウム類」と言われ、たくさんの種類があります。
例えば油彩画のような風合いにしたいとか、模型でアスファルトや川の流れている感じとか、
ガッシュを使ってひび割れのあるような表現をしたい時などに色々な表現が出来ます。
各メーカーは、自社のアクリル絵の具に合うようなメディウム類を同じブランドで発売しています。
同じメーカー・ブランドのメディウム類を選べば、間違いなく使っているアクリル絵の具になじみます。
でも、色々な表現を求めて、あえて異なるメーカーを使うのも一つの手だと思います。
アクリル絵の具は研究をすればするほど無限の発見がある画材です。
ぜひ色々な表現方法を研究し試してみてくださいね!
参考:Patti Brady
3-1.メディウムの種類33種類のメディウムで、多彩な質感と表現が可能!
ここではゴールデン製メディウムの説明をします。
粘度や光沢の差、テクスチャーの違いが選べるゲルメディウムシリーズをはじめ、
なめらかさや透明感、極端な盛り上げなど、絵具だけでは描ききれない質感も思いのまま。
創造力を刺激し、描きたい気持ちに応えるメディウムバリエーションが充実。
あたらしい発見に満ちた、豊かな個性を表現できます。
クリアタールゲル&その他の製品 |
クリアタールゲルは、 |
ソフトゲル~ハイソリットゲル |
透明感のある厚塗りや盛り上げ、 |
パミスゲル |
絵の具に混ぜる量によって、 |
モデリングペースト |
ライトからハードまで、 |
4.まとめ
いかがだったでしょうか?
アクリル絵の具は基本的に紙・布・キャンバスなどに非常に発色よく描くことができる絵の具です。
さらに、アクリル絵の具は板や石・皮革などにもイメージ通りに着色をすることが可能で、これはアクリル絵の具の大きな特長です。
またメディウム類を使うと絵の具を盛り上げるような表現もでき、油絵のような表現が時間をかけずに可能になります。
ただ一方で、アクリル絵の具にも苦手な付着素材があります。
それは、描画面に油のコーティングなどがされている素材や、油性の塗料で下処理がされている油彩用のキャンバスなどです。
さらに、アクリル絵の具もメーカーによって、金属は得意だけれどプラスチックには付着しにくいということもあるそうです。
アクリル絵の具を選ぶ際には、そうした「描ける素材」の得意・不得意もチェックしましょう。
油性と水性の併用は?
水性絵具の上に油絵具を重ねることが可能が油絵具の上に水性絵具を重ねることは危険です。
これは、油の上に水が定着しないからです。
その時は定着しているように見えても、数年後に剥がれてくる可能性がありますのでご注意を!
最後にアクリル画を始める際に欠かせない画材道具である筆とパレットを復習します。
・もう迷わない!総合画材問屋が教えるタイプ別アクリル画筆の選び方!
・もう迷わない!総合画材問屋が説明する画材とは? (水彩編)
ぜひこちらも参考に、使いやすい筆とパレットでアクリル画の世界を楽しんでくださいね!
<筆一覧ーおすすめ7選>
特に平筆がおすすめです。太さの調節がききやすいのがポイント。
まっすぐ塗るか、側面で塗るかだけも変化をつけられます。
他には面相筆も便利です。これは凄く細い筆。
最後に顔のパーツを描いたりするときなどの細かい作業用に使います。
<パレット一覧>
絵の具や筆とともにアクリル画を始める際に欠かせない画材の一つであるパレット。
使わなくなった小皿やプラカップで代用するこもできますが、自由な表現を妨げてしまわないため、
できれば使いやすいパレットも揃えておきたいところです。
代表的なメーカー:坪米(ミッキーパレット)

この記事が皆様の指標になります様にご参考にしてみてくださいね。
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